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本サイトは、IAUの公式サイト nameexoworlds.org 内 "The ExoWorlds"を和訳したものです。


太陽系外惑星系について

公式サイト nameexoworlds.org に掲載されている惑星系(主星(恒星)とその周りを回る惑星)の表 [英語] [日本語]は、exoplanet.eu [2] や exoplanets.org [3] などの複数の太陽系外惑星(以下、系外惑星)データベースをもとに、命名のために国際天文学連合(IAU)がまとめたものです。

これらは2008年12月31日までに発見された、よく特徴がわかっているものです。シンプルでわかりやすい判断基準のもと、発見されから系外惑星だという確証が得られるまでに、少なくとも5年の年月をかけて検討されたものばかりです。系外惑星の発見には、視線速度法、トランジット法、重力マイクロレンズ法、直接撮像法などの様々な方法が用いられています。(詳細については、当サイト内「太陽系外惑星の発見方法」をご覧下さい。)

系外惑星の名前については、連星系や多重星系の命名法を、科学界が広義に適用したものが用いられています。惑星が発見された順番に、惑星が回る主星の名前のあとに小文字のb、c・・・とつけていきます。例えば 55 Cancri eは、かに座55番星(55 Cancri)の周りで4番目に発見された惑星です。(惑星の名前にアルファベットの小文字を使用するのに対して、連星系や多重星系では、大文字を使用します。主星は系の名前にAを、伴星には同じ名前にB、C・・・をつけます。例えば、おおいぬ座のシリウスは連星ですが、シリウスA、シリウスBという名前がついています。)

系外惑星系の表の中には、主星に既に親しみやすい名前がついているものが5つ含まれています。フォーマルハウト(みなみのうお座α星)は、古代ペルシャにて、アルデバラン、アンタレス、レグルスと並んで「王家の星(ロイヤル・スター)」とされていました。ポルックス(ふたご座β星)は、ギリシャ・ローマ神話において、大神ゼウスとレダの息子で、カストルの双子の弟です。その他、ケフェウス座γ(ガンマ)星にはアラビア語で「羊飼い」という意味のエライ、おうし座ε(エプシロン)星にはアラビア語で「牛の目」という意味のアイン、りゅう座ι(イオタ)星にはアラビア語のエダシクという名前がついています [1]。

したがって、これら5つの恒星の名前の公募は行いません。


命名対象となる20の惑星系

名前提案の〆切り:2015年6月15日 世界時23:59(日本時間 2015年6月16日8:59)

20の惑星系に関する詳細情報は、当サイト内「命名対象となる20の太陽系外惑星系」をご覧下さい。


20の惑星系について

惑星には天文学的な名前がついていないのに対し、主星である恒星にはよく知られた名前が複数ついていることがあります。IAUは天体の名前や略記号、88個の星座の境界、そして恒星、星雲、銀河などの天体の命名法についての規格を作ってきました。天体の命名については、http://www.iau.org/public/themes/naming/をご覧下さい。

天体の標準的な命名法を定めることにより、研究者が恒星やその他の天体を同定しやすくなり、特定の天体における研究を進めやすくなりました。SIMBAD天文学データベース(http://simbad.u-strasbg.fr/simbad/)は、太陽系外の天体において、基本データ、天体の別名、文献、観測データ情報などをまとめたものです。また、Ian Ridpatth著「Star Tales(星の物語)」には、星座の神話や伝説、歴史が記述されており、オンライン(http://www.ianridpath.com/startales/contents.htm)で見ることができます。


恒星やその他の天体を特定する標準的な方法として、以下の4つがあげられます。

1. 古代につけられた名前は、大抵ギリシャ語かアラビア語起源ですが、異なる文化圏では同じ恒星に対して異なる名前がつけられていることがあります。全てではありませんが、多くの星には、帰属する星座に関連する名前がつけられています。複数の文化における星の名前の歴史については、R.H. Allen(アレン)著「Star-Names and their Meanings(星の名前とその意味)」 (G.E. Stechert, New York, 1899; https://archive.org/details/starnamesandthe00allegoog) をご覧下さい。Gibson(ギブソン)編集による星の名前も http://www.naic.edu/~gibson/starnames/starnames.html にてご覧になれます。

2. 星座に基づいてつけられた名前は、明るい恒星につけられています。Bayer(バイエル)全天星図(1603年)では、星座ごとに星々をほぼ明るさ順に並べて、ギリシャ文字を使って一番明るい星にアルファ(α)、二番目の星にベータ(β)としました*。例えば、はくちょう座で一番明るいデネブは、はくちょう座α星といいます。(英語では、星座の名前を所有格にします。例えば、はくちょう座 Cygnus の所有格は Cygni ですから、はくちょう座α星は Alpha Cygni と表記します。)さらにFlamsteed(フラムスチード)は1725年に3000個の星を西から東へ赤経(天球の経度)順に並べたカタログを作成しました。はくちょう座61番星(61 Cygni)といったフラムスチード番号は、Lalande(ラランド)によるフラムスチード・カタログ・フランス語版(1783年)で割り当てられました。この番号は、各星座で連続してつけられています。
*注)明るい順にギリシャ文字のα、β、γ・・・、ωがつけられ、その後はローマ字のA、b、c・・・と命名されました。現在では、A以降はあまり使われていません。また、星座によってはα星が最も明るいとは限りません。

3. カタログには、作成した天文学者、天体の種類(熱い恒星、近傍の恒星、明るい恒星、など)、天文台、使用した望遠鏡や観測装置の名前がつけられています。天体には通常西から東へ赤経順に番号がふられます。

4. 天体の座標に基づいて作成されたカタログについては、天体やサーベイ名の頭字語や略語に続いて赤経(天球の経度)と赤緯(天球の緯度)が書かれたものが、名前として使われます。カタログには、西から東へ赤経順に掲載されます。このようなカタログにはパルサー(PSR)カタログ、クエーサー(QSO)カタログ、スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)があります。

今回命名される惑星系の主星について
1. かに座55番星(フラムスチード番号)は、かに座の中で西から(赤経の小さい順から)55番目の恒星です。
2. おうし座ε(エプシロン)星(バイエル名)、別名アイン(牛の二つ目の目という意味)は、おうし座の中で5番目に明るい恒星です。
3. ペガスス座51番星(フラムスチード番号)は、ペガスス座の中で西から51番目の恒星です。
4. アンドロメダ座14番星(フラムスチード番号)は、アンドロメダ座の中で西から14番目の恒星です。ギリシャ神話ではアンドロメダ姫は、(WまたはMの形をした星座で有名な)カシオペヤ王妃の娘です。
5. アンドロメダ座υ(ウプシロン)星(バイエル名)は、アンドロメダ座の中で20番目に明るい恒星です。
6. ポルックス(バイエル名はふたご座β星)は、ふたご座の中で最も明るい恒星です。ギリシャ神話ではカストルの双子の弟です。(カストルがふたご座α星です。)
7. わし座ξ(クサイ)星(バイエル名)は、わし座の中で14番目に明るい恒星です。
8. おおぐま座47番星(フラムスチード番号)は、おおぐま座の中で西から47番目の恒星です。
9. さいだん座μ(ミュー)星(バイエル名)は、さいだん座の中で12番目に明るい恒星です。
10. エダシク(バイエル名はりゅう座ι(イオタ)星)は、りゅう座の中で9番目に明るい恒星です。
11. HD 149026は、ヘンリー・ドレイパー(HD)カタログに記載された225,300個の恒星のうち西から(赤経順に)149026番目の恒星です。ヘンリー・ドレイパーカタログには、地球から見える明るい恒星のスペクトルが集められています。
12. フォーマルハウト(バイエル名はみなみのうお座α星)は魚の口という意味で、みなみのうお座の中で最も明るい恒星です。
13. HD 104985は、ヘンリー・ドレイパー(HD)カタログに記載された225,300個の恒星のうち西から104985番目の恒星です。
14. いるか座18番星(フラムスチード番号)は、いるか座の中で西から18番目の恒星です。
15. エリダヌス座ε(エプシロン)星(バイエル名)は、エリダヌス座の中で5番目に明るい恒星です。
16. エライ(バイエル名はケフェウス座γ(ガンマ)星)は羊飼いという意味で、ケフェウス座の中で4番目に明るい恒星です。
17. HD 81688は、ヘンリー・ドレイパー(HD)カタログに記載された225,300個の恒星のうち西から81688番目の恒星です。
18. りゅう座42番星(フラムスチード番号)は、りゅう座の中で西から42番目の恒星です。
19. うしかい座τ(タウ)星(バイエル名)は、うしかい座の中で19番目に明るい恒星です。
20. PSR 1257+12のPSRはパルサーの頭字語です。パルサーとは、電波パルスを放射している天体で、中性子星が回転しているものであることがわかっています。PSRに続く1257+12は、赤経(天球の経度)が12時57分、赤緯(天球の緯度)が+12度(+は天球の北緯を表す)という意味です。

発見者からのコメント

エダシク b(りゅう座ι(イオタ)星 b)

「りゅう座ι星 bは、巨星の周りで発見された初めての惑星です。平たい楕円形の軌道を持っており、巨星の周りの惑星としては変わっています。扁平な軌道を持っている天体は、主星から遠くにある別の天体の影響を受けている可能性が高いです。私たちはりゅう座ι星の伴星を発見すべく、今でのこの恒星をモニタし続けています。もしも発見できれば、この2つの恒星がお互いどのように影響を及ぼしあっているかを調べられます。」

「私はこの惑星の存在が明らかになった、リック天文台での観測夜のことを今でも覚えています。観測期間の最初の夜から、りゅう座ι星を観測していましたが、惑星が存在する時に見られる視線速度の変化は見られませんでした。それでもこの恒星の観測を続けたところ、観測期間終了までに、りゅう座ι星には平たい楕円形の軌道を持つ惑星があるという確かなデータが得られました。私はこの惑星を発見できて、とてもラッキーです。視線速度の変化が検出できるのは、1.4年の公転周期のうちのたった数日だけだからです。実際、観測期間中に(恒星の)視線速度の変化がみるみる減衰していきましたから。」

Sabine Reffert
Landessternwarte Heidelberg, Germany



エライ b(ケフェウス座γ星 b)

「ケフェウス座γ星Aは肉眼で見える明るい星ですが、その周りを回る惑星”b”は恒星の10億倍近く暗い天体です。数年にわたる観測の結果、この惑星の存在が明らかになりました。Bruce Campbell、 Gordon Walker、Stephenson Yangの3名が、分光器で恒星のほんのわずかなふらつきをとらえました。1980年代にハワイとカナダの望遠鏡に分光器とフッ化水素の入ったチューブをとりつけました。恒星の光をフッ化水素気体の入ったチューブに通し、安定で波長がよくわかった気体の吸収線を目盛りとして焼き付ける方法は、当時としては画期的な方法でした。」

「この惑星の存在を読み解くのは至難の業でした。ケフェウス座γ星Aには、(当時は観測されていなかった)非常に暗い赤色矮星である伴星Bがあったからです。惑星は主星Aの周りを2年以上かけて公転していますが、伴星Bの公転周期は57年です。主星Aが太陽の位置にあったとすると、惑星は火星の距離にあり、伴星Bは主星Aから惑星より8倍遠くにあります。私達が最初に見つけた系外惑星の主星が連星系をなし、惑星が伴星に近いために生き長らえるのが困難であるという惑星系であったのは運が悪かったと思います。そのため、惑星が存在する確かな証拠をつかむのに何年もかかってしまいました。」

Gordon Walker



エライ b(ケフェウス座γ星 b)、ポルックス b(ふたご座β星 b)、エリダヌス座ε星 b

これらの惑星は明るい恒星の周りを回っているため、歴史のある星々ばかりです。神話や星座にまつわる名前をつけられるといいと思います。

Artie Hatzes



フォーマルハウト b(みなみのうお座α星 b)

私がハッブル宇宙望遠鏡(HST)を使って撮影したフォーマルハウトの塵のベルトを見た一般の方々から、何年もの間、不思議な反応がありました。塵のベルトの形が、巨大な目を連想させるからなのでしょう。このことから、フォーマルハウト bの名前は、目、見ること、あるいは夢といったコンセプトをふまえたものが良いのではないでしょうか。」

「私的なことですが、私の両親はクレタ島で生まれ育ったという背景があります。もしも、フォーマルハウト bの名前を考える際に、発見者である私のことを踏まえて下さるのであれば、ギリシャの神話や歴史を参照されてはいかがでしょうか。」

「(名前の候補として)夢の神パンタソスはいかがでしょうか。フォーマルハウト bの存在は不確かで議論の余地があり、夢のようだからです。」

「フォーマルハウト bの科学的な背景としては、2008年後半にこの惑星の発見について発表しました。その3年後、他の研究者やジャーナリストがこぞってヒステリックにその存在に物議をかもしました。要するに、フォーマルハウト bなど存在しない、きっと夢を見ていたのだろう、と言うのです。」

「もちろん、フォーマルハウト bは今では存在が確認されています。今でもなお、その存在は客観的に実在するという話と、夢の中で存在してほしいと願っているという話が混ざっています。2012年の段階では、フォーマルハウト bは「ファントム(幽霊)」系外惑星だと考えられていました。結局のところ、私の夢は実在したのです。」

Paul Kalas



命名される惑星系の位置

真ん中で帯状に見えるのが天の川(私たちが住む天の川銀河の円盤を中から見ているようす)。特に天の川が太くなっているのが銀河中心領域で、さそり座からいて座の方向に相当します。



この画像は、IAU 公式サイトより転載しています。


参考文献

[1] Kunitzsch, P, and Smart, T., 2006, "A Dictionary of Modern Star Names" (2nd Revised Edition, Sky Publishing, Cambridge, MA, USA)

[2] Schneider, J., Dedieu, C., Le Sidaner, P., Savalle, R., and Zolotukhin, I. 2011, “Defining and cataloging exoplanets: the exoplanet.eu database”, Astronomy & Astrophysics, vol.532, id.A79, 11 pp.

[3] Wright, J. T., Fakhouri, O., Marcy, G. W., Han, E., Feng, Y., Johnson, John Asher, Howard, A. W., Fischer, D. A., Valenti, J. A., Anderson, J., Piskunov, N. 2011, “The Exoplanet Orbit Database”, Publications of the Astronomical Society of the Pacific, Vol.123, issue 902, pp.412-422.



日本天文協議会 IAU太陽系外惑星系命名支援WG・ 天文教育普及研究会 太陽系惑星命名支援WG