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太 陽 系 外 惑 星 と は ?

 
 私たちの住む地球と同じように太陽のまわりを公転する「惑星」は、地球の他に7個が知られています。一方、太陽以外の星のまわりを公転する惑星のことを太陽系外惑星、略して系外惑星と言いますが、系外惑星が存在するかどうかは、人類の長い歴史においてごく最近まで分かっていませんでした。

 もし太陽系の惑星が約46億年前に必然的に生まれたのであれば、同様に太陽と同じような別の恒星にも惑星が誕生してしかるべきです。しかし、もし太陽系の惑星が偶然の産物として奇跡的に誕生したのであれば、我々はこの広い宇宙で非常に孤独な存在ということになります。また、もし惑星が恒星のまわりで普遍的に誕生したとしても、地球と同じような環境をもち、生命が存在するような惑星が必ずしも出来るとは限りません。もし生命の存在する惑星が他の恒星に存在しない場合、やはり我々は孤独な存在となってしまいます。

 つまり、系外惑星を探す研究は、惑星がどのようにして形成されるのかを解き明かすと同時に、我々は宇宙において特別な存在かどうかという哲学的な問いにも答えを出す研究と言えます。

 幸いにして、1992年に中性子星のまわりに、そして1995年には太陽と同じ恒星のまわりに系外惑星が発見され、惑星は太陽以外の星でも作られることが証明されました。それ以降系外惑星は続々と発見され、その数は既に1800個を越えています。その中には、地球と同じように生命が住める環境を持つ可能性のある惑星も含まれています。つまり、惑星は宇宙において普遍的な存在であり、さらには宇宙は生命で満ちあふれている可能性すらあることが分かってきました。

 しかし、なぜ近年になるまで系外惑星は見つからなかったのでしょうか?

 その理由は、系外惑星を発見することが非常に難しかったからです。太陽から一番近い恒星でも距離が4.4光年(42兆km)もあり、もし惑星がそこに存在していたとしても、自ら明るく光っていない惑星は地球から見ると非常に暗く、またそのごく近傍で煌々と輝く主星の光が妨げとなり、惑星を直に捉えることが技術的に難しかったのです。

 しかし、近年の観測技術の進展に伴い、まずは惑星を画像として直接捉えるのではなく、間接的に惑星の存在を調べることが可能となりました。これまでに成功している間接法は4つあり、パルサー・タイミング法、視線速度法、トランジット法、そして重力マイクロレンズ法です。これらの手法はそれぞれに一長一短があり、発見可能な惑星の質量や軌道、主星の種類に違いがあります。例えば視線速度法やトランジット法は主星に近い軌道をもつ惑星ほど発見しやすく、重力マイクロレンズ法は主星から比較的離れた軌道をもつ惑星を見つけやすいという特徴があります。またパルサー・タイミング法は、大質量の恒星が年老いて大爆発(超新星爆発)を起こした後の残骸天体である中性子星のまわりで惑星を見つけることが出来る方法です。

 相補的な役割をもつこれらの手法によって、惑星系は非常に多様であることが分かってきました。特に、数日という非常に短い周期で公転する巨大惑星「ホットジュピター」や、大きな楕円軌道をもつ「エキセントリック・プラネット」、地球の数倍程度の質量をもつ「スーパーアース」など、我々の太陽系には存在しないタイプの惑星が宇宙には広く存在する事が明らかとなりました。しかし、これらの惑星がどのようにして形成されたのかはまだ完全に解明されておらず、今後の重要な研究テーマとなっています。

 また最近では、上述したような惑星の直接観測の困難さを技術的に克服し、主星から遠方の軌道をまわる巨大惑星を直接画像に収めることにも成功しています。今後この技術は飛躍的に進展することが期待されており、より大型の望遠鏡とより精密な観測装置を使うことで、将来的に地球型の惑星まで直接画像に収めることが可能になるでしょう。

 そしてその先には、いよいよ系外惑星に生命の痕跡を探す時代がやってきます。我々は宇宙で孤独な存在なのかどうか、そう遠くない将来に答えが得られるかもしれません。

文責: 福井暁彦(国立天文台)



日本天文協議会 IAU太陽系外惑星系命名支援WG
>天文教育普及研究会 太陽系外惑星命名支援WG
日本天文愛好会(JAAA)